受付の案内は、表示を増やす前に「どこで受付するか」「何を操作するか」「その後どこで待つか」を分けて考えると整理しやすくなります。入口から待機場所まで、来訪者の次の行動がつながる配置と文章を見直してみましょう。
入口から待機まで、4つの場面で整理する
初めて訪れる人は、社内の呼び出し方も部署の位置も知りません。入口で見える案内と、端末に近づいてから読む説明を同じ場所に詰め込むと、大切な情報を見つけにくくなります。次の4場面ごとに、ひとつの行動を伝える案内を用意します。
- 1.入口で受付を見つけるエレベーターや扉から出た位置で、受付の場所と進む方向がわかるようにします。曲がり角がある場合は、分岐の手前にも案内を置きます。
- 2.受付前で操作を選ぶ内線電話を使うのか、端末を操作するのかを、手を伸ばす前に示します。来訪目的によって手順が変わる場合は、その選択もここで伝えます。
- 3.受付後の状態を知る受付が完了したか、連絡が済んだかを表示します。画面を閉じた後も、待機場所の案内が見えるようにします。
- 4.待機場所で次を確認するどの席で待つか、案内がないときは誰に連絡するかを示します。通路をふさぐ位置に立ったまま待つ状況を避けられる配置を考えます。
入口から端末までの動線と、受付を終えてからの待機案内を続けて確認することが大切です。画面に表示する情報を詳しく決める場合は、受付サイネージの待機画面に表示する内容も参考になります。
固定サインと画面の役割を分ける
情報を選ぶ基準は、常に必要か、受付の状況によって変わるかです。会社紹介の動画が流れている間も、受付の位置や操作の入口は見つけられる状態にしておきます。
固定サイン:いつでも必要な案内
受付の位置、進む方向、内線電話の場所、基本の入館ルールなど。壁面・卓上の表示は、端末の画面が切り替わっても残る道しるべになります。
変更頻度が低い情報を中心にし、連絡先や受付時間を載せる場合は、変更時に差し替える担当者も決めておきます。
画面:その場の状態を伝える案内
受付手順、受付完了、担当者への連絡状況、当日の案内など。利用するシステムで確認できる状態に合わせて表示内容を決めます。
会社紹介や季節の映像と案内を切り替える場合も、操作に必要な情報が隠れないようにします。
同じ内容をすべての媒体に繰り返すより、入口のサインで受付へ導き、端末で手続きを案内し、受付後に待機場所を示す流れにすると、各表示の目的が明確になります。設備を選ぶ段階では、受付サイネージの導入ガイドで表示内容と運用条件を整理してみてください。
場面に合わせた案内文の具体例
表示文に使う方向、ボタン名、連絡方法は、実際の配置と受付の手順に合わせます。「こちら」だけでは場所が伝わらないときは、方向や設備の名称を添えると判断しやすくなります。
入口の案内
ご来訪の方は、正面の受付でお手続きをお願いします。
正面に受付が見える配置では、上の案内を使えます。見えない場合は、矢印と曲がる位置を示し、途中で案内が途切れないようにします。
QR受付を採用している場合
招待メールのQRコードを、受付の読み取り口にかざしてください。お持ちでない方は「担当者を呼び出す」を選んでください。
QRコードを持たない人にも受付方法を示します。案内には端末の実際のボタン名を使い、QRコードだけを唯一の受付方法にしない構成を検討します。
担当者への連絡が完了した後
担当者へ通知しました。右手の待合席でお待ちください。
「通知しました」は、送信完了を確認できる場合だけ表示します。「通知しました」と「担当者が確認しました」は異なる状態なので、取得できる情報に合わせて表現を分けます。
端末や連絡機能が使えないとき
受付端末をご利用いただけない場合は、受付横の内線電話から総務へご連絡ください。
この案内には、使える内線電話と、呼び出しに応対する総務担当が必要です。連絡先の番号と電話の使い方を、画面が消えても読める場所に置きます。
操作が完了しないまま「受付完了」と表示すると、来訪者はその場で待ち続けてしまいます。受付の完了、連絡の送信、担当者の確認を分け、うまく進まない場合の連絡先まで用意しておきましょう。内線電話を使う受付では、呼び出し方と待機案内の見直しも合わせて確認できます。
木目・照明・視線の高さに配慮する
木の素材感を活かした受付でも、案内の読みやすさは個別に確認します。木目の上に細い文字を直接載せる場合と、色のそろった下地に文字を載せる場合では、見え方が変わります。サインの面材、文字の太さ、背景との明暗差を、実際の照明の下で比べてみてください。
- 見る距離:入口から読む文字と、端末の手前で読む操作説明を分けます。画面や紙を実寸で置き、想定する距離から読めるか確認します。
- 反射:ガラス、光沢のある面材、端末の画面は、窓や照明が映り込むことがあります。昼間と照明を点けた状態の両方で見え方を確かめます。
- 視線の高さ:立った位置だけでなく、座った位置からも案内が見えるかを確認します。置き場所によっては、端末や観葉植物が文字を隠すこともあります。
- 伝え方:色だけで受付方法を区別せず、文字やわかりやすい図記号を添えます。画面の操作に困った人がスタッフへ連絡できる方法も用意します。
三重県の県有施設向けユニバーサルデザインガイドライン(PDF)には、5mの距離から見る案内板の和文文字高を2cm以上とする目安が掲載されています。これは県有施設向けの参考値です。オフィスでは、利用者、距離、照明、設置面を踏まえ、文字のポイント数だけでなく実際の文字の高さと読みやすさを確認する材料にできます。
設置前後に確認する手順
サインを制作する前に、仮の表示を置いて流れを確かめると、配置と文言を調整しやすくなります。次の順序で点検し、案内を追加する場所と、整理する表示を決めます。
- 入口から歩く:初めて来る人を想定して、エレベーターや扉から受付まで移動します。最初に受付の位置がわかるか、途中で進む方向に迷うかを書き出します。
- 仮の表示を置く:紙などで実寸の案内を作り、設置予定位置で確認します。矢印の向き、読める距離、照明の反射、通行や着席の妨げになる位置を点検します。
- 通常以外の受付も試す:予約のない来訪、担当者名しかわからない来訪、端末が使えない場合を想定します。困ったときに連絡できる相手と方法までつながるか確認します。
- 設置後の質問を見直す:「どこで受付するか」「何を操作するか」「どこで待つか」という問い合わせの内容を振り返ります。質問が残る場所の表示を調整し、古い案内は取り外します。
受付の第一印象は、素材の美しさと、使う人へのわかりやすい配慮を重ねることで整えていけます。設備の入れ替えを急ぐ前に、入口の案内、操作の説明、待機場所の3点から見直すと、必要な改善を選びやすくなります。
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