「受付で時間がかかる」と感じたとき、入口で方法を探している時間と、受付後に担当者を待つ時間では、見直す場所が異なります。まず計測する場面を決め、公開調査と自社の記録を分けて使いましょう。
公開調査は、対象と数字の意味から読む
働き方の調査は人の動きを考える背景に、受付システムの調査は比較の材料になります。ただし、どちらも自社の来客数や待ち時間を直接示すものではありません。数値を読む前に、誰に、いつ、何を尋ねたかを確認します。
同じ調査でも、経験者と直近の実施者は異なる
国土交通省が2026年3月24日に公表した令和7年度テレワーク人口実態調査では、雇用型就業者のうち、現在の主な仕事でテレワークの経験がある人は25.2%、直近1年間に実施した人は16.8%でした。
これまでの経験を尋ねた割合
直近1年間の実施を尋ねた割合
調査期間は2025年10月24日〜11月4日、全国15歳以上の就業者を対象とするWEB調査。有効回答40,000人のうち、上記の分母は雇用型就業者36,391人です。定義・概要は報告書p4〜5、結果はp8・11を参照。
この16.8%から、ある日の出社率や受付の来客数は算出できません。自社で担当者が不在になりやすい曜日や、来訪が集中する時間帯があるかを確認するきっかけにします。
受付システムの調査にも対象の条件があります。BOXILの独自調査は、2025年3月7〜15日に、導入に携わった全国20〜60代の1,723人へインターネットで尋ねたものです。回答者内のサービス構成比を、全企業の導入率や自社に合う製品の順位として読み替えないようにします。
- 対象:企業か個人か、導入経験者だけか。自社と異なる業種・規模・地域を含むか。
- 時点:公表日と調査した期間を区別します。古い結果を現在の提供状況や価格へ置き換えません。
- 分母と質問:何人の回答に対する割合か。経験、実施頻度、満足度、待ち時間のどれを測っているか。
自社では、件数・時間・困った場面を分けて記録する
来訪が多いことと、一組の対応に長くかかることは別の課題です。最初から多くの項目を集めず、受付操作、待ち時間、社内の応対など、見直したい場面に関係する項目を選びます。
| 来訪組数と人数 | 同じ訪問で来た一組を1件として数え、人数は別に記録します。2人の訪問を2件と数えないなど、集計の単位を合わせます。 |
|---|---|
| 受付を終えるまで | 受付位置への到着から、受付操作や取次ぎが完了するまでの時間。入口全体の案内を調べる場合は、入口到着を別に記録します。 |
| 受付後の待ち時間 | 受付完了から担当者が出迎えるまで。通知時刻だけでは受付完了を確かめられない場合、その区間は「通知から出迎えまで」と別の名前で記録します。 |
| 社内の対応時間 | 社員が取次ぎ・再連絡・案内に使った時間。対応した回数だけでは工数になりません。2人がそれぞれ3分対応したなら、延べ6分(2人×3分)と記録します。来訪者が待った3分とは区別します。 |
| 確認・やり直し | 「受付方法がわからない」「待つ場所を尋ねた」「通知先を探し直した」など、起きた場面と内容を記録します。同じ一組で複数回起きた場合の数え方も決めます。 |
時間は時計などで確認した実測と、来訪者の感じ方を分けます。「長く感じた」は改善に役立つ声ですが、実測の3分と同じデータとして平均しません。来訪者の待ち時間と社員の対応時間も、別の欄で扱います。
時刻を分けると、見直す場面が見える
受付位置への到着、受付完了、出迎えの三つの時刻を分けて記録すると、受付にかかった時間と、その後の待ち時間を別々に計算できます。
受付完了まで:2分
受付後の待機:3分
到着から出迎え:5分
受付完了までの2分に、操作方法を探す時間が含まれているなら、画面や受付什器の位置、案内文を確認します。受付後の3分には、担当者の移動や会議終了待ちが含まれるかもしれません。時刻だけで原因を決めず、観察した場面や社内担当者への確認と合わせて考えます。
予定時刻より早く到着した訪問、担当者不在、受付操作の途中で中止した訪問は、理由を別に残します。完了を確認できなかった記録を0分にしたり、都合のよい結果だけを残したりすると、改善前後を比べにくくなります。
一つの疑問から観察記録を作る
例えば「受付後に待つ場所を尋ねられることが多い」という疑問なら、待機案内を探した場面と受付済みの訪問組数を記録します。件数だけを比べると、来訪そのものが増えた日の影響を受けるためです。
最初に決める記録の条件
- 確認する疑問
- どの場面で、何を確かめたいか
- 対象と単位
- 商談・面談・納品などの区分、訪問組数/人数
- 観察する範囲
- 曜日、時間帯、受付位置、記録する担当
- 記録する項目
- 必要な時刻、確認ややり直し、例外の理由
- 見直す日
- 記録を読み、改善案を一つ決める日
忙しい時間だけ、あるいは担当者のいる日だけを見ると、特定の条件に偏ります。来訪の少ない職場では、数日で結論を出さず、異なる曜日や目的の訪問を確認できるまで範囲を広げます。観察できなかった時間帯も残しましょう。
観察記録は、必要な時刻・場面・件数に絞り、氏名、連絡先、商談内容を入れない形から検討します。既存の来訪者名簿とは目的を分け、閲覧する人と見直し後の扱いを社内で決めておきます。
改善前後は、同じ条件と単位で比べる
変更前と変更後で、計測の開始・終了、訪問の数え方、曜日・時間帯を合わせます。工事、採用イベント、来客が集中した日などは注記し、通常の日と分けて確認します。
件数と割合を一緒に読む例
架空の記録で、変更前は10組中3組、変更後は20組中4組が待機場所を尋ねたとします。確認された組数は3組から4組へ増えていますが、その割合は30%から20%へ下がっています。
計算:3÷10×100=30%、4÷20×100=20%。案内を変える前後では、訪問目的、初めて来た人の割合、観察する曜日・時間帯も合わせて比較します。
待ち時間は平均だけで終わらせず、個々の時間と長く待った理由も読みます。件数が少ないときは、細かな率の差より、同じ質問ややり直しがどの場面で繰り返されたかを確認する方が、次の修正を決めやすいことがあります。
- 受付方法を探している:入口から受付位置が見えるか、説明が読めるか、端末と木製什器の高さ・配置を確認します。
- 受付後に待つ場所がわからない:一般案内と受付システムの状態表示を分け、待機画面の構成と更新手順を見直します。
- 再連絡や通知先の探索が多い:担当者不在時の取次ぎ先と対応を、来客対応のフローに沿って整理します。
案内、端末、什器、通知先を一度に変えると、どの変更が関係したか判断しにくくなります。まず一つの場面を選び、変更内容と確認する項目を記録してから、同じ条件で再度見ます。来訪者を迎える質感や待機席からの見え方も、数値と一緒に確かめてください。
記録から受付の導入範囲を決めるときは、来客の重なり、取り次ぎ、人の判断が必要な場面を確認します。案内・呼び出し機器・人の応対を選ぶ判断基準で、必要な役割に合う方法を比べられます。
観察した場面から、受付の配置と表示を考える
mokuture+では、木工の受付什器とサイネージを組み合わせた入口づくりをご相談いただけます。受付と待機席の位置、困った場面、現在の案内を共有いただき、素材の表情と来訪者の動きを踏まえた構成を検討します。
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